2026年6月15日、清明学園中学校にて金融経済教育の特別授業を実施しました。
今回は第5回目の授業として、「会社のお金の仕組み、会計基礎、資本構成」をテーマに、企業活動におけるお金の流れや利益の考え方、会社の財務の見方について学びました。
第5回授業では“会社のお金の流れ”を体験と座学の両面から学ぶ機会に
これまでの授業では、お金の役割や使い方、株式投資の仕組みなど、金融経済の基礎を段階的に学んできました。
第5回となる今回は、その学びをさらに発展させ、「会社はどのようにお金を使い、増やし、維持していくのか」という、企業活動のより実践的な側面に焦点を当てました。
授業では、会社経営において大切なのは、単に売上を上げることだけではなく、原価や費用を踏まえて利益を生み出し、手元資金を管理していくことであると確認しました。
生徒たちは、普段ニュースなどで目にする「利益」や「赤字」「資金繰り」といった言葉が、実際にはどのような意味を持つのかを、体験を通じて理解していきました。
「ハンバーガーショップゲーム」で利益とキャッシュフローを体感
授業前半では、会社経営を模擬体験できる「ハンバーガーショップゲーム」を実施しました。
生徒たちは初期資金2,000円をもとに、材料費を先に支払い、商品を製造・販売しながら、最終的なキャッシュフローの最大化を目指しました。
ゲームでは、ハンバーガーやチーズバーガーの売価と原価があらかじめ決められており、価格変更やキャンペーンはできないルールのもとで、限られた資金をどう使うかを考えながら進めていきました。
その中で、生徒たちは「売れればよい」のではなく、いくら使い、いくら回収し、どれだけお金が手元に残るかが重要であることを実感しました。
また、結果共有では、最も高いキャッシュフローを達成した生徒を「キングオブバーガー」として表彰。
楽しみながら取り組める形式の中で、売上・原価・利益・資金繰りの関係を自然に学べる時間となりました。
会計の基礎を学び、“黒字でも安心ではない”ことを知る
ゲームの振り返りを通じて、授業では会計の基礎についても学びました。
売上から原価を引くことで利益が生まれる一方で、会社経営ではそれだけでなく、人件費、家賃、水道光熱費、広告宣伝費、配送費、福利厚生費、役員報酬など、さまざまな費用がかかることを確認しました。
さらに、帳簿上は利益が出ていても、支払いのタイミングと入金のタイミングがずれることで、手元資金が不足してしまうことがあるという「キャッシュフロー」の重要性についても理解を深めました。
こうした学びを通じて、生徒たちは、会社経営には「利益を出すこと」と同じくらい「支払い続けられること」が大切であることを知りました。
授業内では、お金の三大役割である「交換の手段」「価値の保存」「価値の尺度」にも触れ、費用とは単なる支出ではなく、仕事や価値への対価でもあることを確認しました。
財務諸表やIR資料を通じて、会社の見方を広げる
後半の座学では、企業の状態を読み解くための基本資料として、損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)について学びました。
損益計算書では、売上高、売上総利益、営業利益、税引前当期純利益、当期純利益といった流れを確認し、会社がどのように利益を積み上げていくのかを整理しました。
一方、貸借対照表では、資産・負債・純資産のバランスを見ることで、会社の安定性や成長への姿勢を読み取る考え方にも触れました。
自己資本が厚い会社は安定感がある一方で、借入を活用することで資本効率を高める見方もあるなど、財務には複数の視点があることを学びました。
また、上場企業が開示しているIR資料についても紹介し、Apple、トヨタ、サイバーエージェントなどの事例を通じて、企業は投資家に向けて継続的に情報発信していることを知る機会となりました。
資本構成や投資の考え方から、会社と社会のつながりを考える
授業ではさらに、自己資本と借入の割合の違いによって、会社の見え方がどう変わるのかについても学びました。
たとえば、同じ100億円の投資でも、自己資本80・借入20の会社は安定的に見えやすく、自己資本20・借入80の会社は効率性を重視しているように見えるなど、銀行員の視点と投資家の視点では評価軸が異なることを理解しました。
加えて、投資判断においては、株価の動きだけを見るのではなく、企業の中身を見る「ファンダメンタルズ」と、値動きの傾向を見る「テクニカル」の両方があることにも触れました。
ニュースや為替、社会情勢が企業や株価にどのような影響を与えるのかを考える中で、生徒たちは、投資や経済が社会全体の動きと深く結びついていることを実感していました。
次回は経営者カードゲームへ。より実践的な学びへつなげる
今回の授業は、会社のお金の流れをゲームで体験しながら、会計や財務、投資の見方へと学びを広げる内容となりました。
生徒たちは、会社は単に商品やサービスを提供するだけでなく、利益、資金繰り、財務戦略など多くの要素の上に成り立っていることを学び、経済や企業を見る視点をさらに深めることができました。
次回は、2026年6月29日に、経営者カードゲームを活用した実践的なプログラムを予定しています。
実際の経営判断を疑似体験しながら、今回学んだ「会社のお金の仕組み」を、さらに具体的に理解していく機会となる見込みです。
監修
本授業内容は、大沼楽氏の監修のもと構成しています。
大沼氏は、メガバンクで中小企業・上場企業・ベンチャー企業の支援に携わり、メガシンクタンクでは経営企画業務に従事されてきました。現在は、株式会社こども未来創生総研の代表として未来志向の学びの場づくりに取り組むとともに、モンテッソーリ久が原子どもの家の代表として教育現場にも携わっています。金融・経営の実務経験と、子どもの発達段階に寄り添う教育実践の双方を活かし、社会とつながる実感を育む金融教育に取り組まれています。